本の紹介

 早いもので、2021年も2月中旬です。早くも春の足音が聞こえつつあるこの頃です。相変わらず緊急事態宣言下での日々、いかがお過ごしでしょうか。

 

 今回は、これまでと少し変わって本のご紹介をしたいと思います。最近読んだ一冊「対話の技法」と、少し前に読んだ「ネガティブ・ケイパビリティ」の2冊です。

 

 

【ネガティブ・ケイパビリティ】帚木蓬生著(朝日選書)

 

 コロナ禍に入り間もなくして、新聞にも取り上げられた「ネガティブ・ケイパビリティ」は、サブタイトルにある「答えの出ない事態に耐える力」のことです。この本は、偶然にもコロナ禍に陥る少し前、参加している学習会で紹介いただいたものでした。IT化が進み、AIが飛躍的発展を遂げている昨今、結果を早く手にすることや、予定した結果につなげていくことを求められているように感じることは少なくありません。また、社会においてもそういうことが評価されているようにも感じていました。スピード感が重視されていることは否めないように思います。このような時勢において、なかなか結果のでないことや、答えがでないもの、形に見えにくいこと…こうしたものに光が当たりにくい一因に、時間がかかってしまうことがあります。時間がかかってしまうことのデメリットは、コスト面やその他時間がかかってしまうことそのものにおけるデメリットはもちろんあるのでしょうが(コスト面、その他諸々)、対応する人間が、その時間を「待てない」ことが一番大きな要因なのではないかと思うようになりました。早く結果を手にすることができることは、安心に直結しますよね、結果がわからない、見えない、確信できない、そうしたことは、非常にストレスになるものです。これに耐える力が大切であることが、本書では述べられています。

 見通しの立たないこと、終わりが見えないこと、正にコロナ禍の収束・終息は誰にもわかりません。そんな渦中にいる私たちは、この事態をどう受け止めていくのかが試されているのです。自分自身のネガティブ・ケイパビリティはどうなんだろうか…コロナ禍も1年以上が経ち、周囲と比べがちになってしまい、できない自分にがっかりすることも多くあります。でも、今のところ心身共に健康に過ごせている、そう考えると、自分なりの受け止め方で状況に対応して過ごすことはできているのかもしれません。

 著者の帚木蓬生さんのインタビューがありました。コチラをどうぞ。

 

 

 

【対話の技術】納富信留著(笠間書院)

 

 これは数週間前、新聞の本の紹介コーナーにあったもので、その記事を読んですぐに購入しました。予想以上に内容は深く、一方で大変読みやすいものでした。

 「対話」というものがどういうものであるのか、哲学的視点により丁寧に書かれています。「対話」が大事であることは、最近大変クローズアップされています。そのこと自体はとても喜ばしいことに思っていますが、対話そのものの扱いについて、あまり大事に扱われていないのではないかと少し心配になっていたところでした。本書を読むと「対話」がどういうものであるのかということについて、様々な角度から「対話」を考え、対話の持つ力がどういったものであるのかがよくわかります。グループを学び、グループを用いて学ぶ場づくりに関わる者として、とても学ぶことが多かったです。本書による「対話」からTグループの持つ力について考えてみたいと思いました。

 

 

以上、2冊のご紹介でした。

これまでとちょっと違った形でのブログ更新、いかがでしたでしょうか。

本以外でも気になることについて、いろいろお伝えしていこうと思います。

お読み頂きありありがとうございました。

 

      by Ayu